京都青年 2011年10月号


社会の課題と向き合い、社会から必要とされる活動を

京都YMCA 総主事 神崎 清一

 私ども「財団法人京都キリスト教青年会」は、このたび本年10月3日をもって公益法人に移行し、法人名を「公益財団法人京都YMCA」と変更いたしました。

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 2008年12月より国の公益法人制度に関する法律が変更されたことに伴い、全国にあるすべての財団法人並びに社団法人が、2013年11月までに「公益法人」もしくは「一般法人」への移行を行うことが求められていました。この法律の中で、「公益法人」の条件として①公益目的事業を行うことが主たる目的であること②公益目的に必要な経理的基礎と技術的能力があること③社会的信用を維持するうえでふさわしくない事業や公の秩序、善良の風俗を害する恐れのある事業を行わないことなどがあげられており、私たち京都YMCAでは、「公益財団法人化」を目指して、検討チームを設置し準備を進めてきました。

 会員の方々と事務局によるこのチームでは、これまでの会員の方々が主体的に参画することによってYMCAが形成されてきたことを大切にし、そしてこれからもこのことを護りつつ、新しい法律のもとでの有様を検討し、会員の皆さまには数年にわたって進捗状況を報告させていただいてまいりました。

京都キリスト教青年会(京都YMCA)は、発会の1889年以来122年にわたって、会員の方々によって、その時代の社会の課題と向き合うことで、社会から必要とされる活動を行ってきました。それは職能教育、語学教育、健康教育、生涯学習であり青少年教育でありました。また、それは平和教育でありました。その時代によって形は変わりますが、それぞれ人を変え社会を変革する力を持っていました。

これらの歴史によって培われてきた活動が認められ、このたび本会はすべての活動が「公益財団」として相応しいものであるとして認定されました。全国のYMCAでは大阪、東京、神戸に次いで4番目の認定となりました。

これに伴ってこれまでにもご報告しておりましたように、会員制度も変更されました。これは「変わる」というより、次の3つのポイントにおいて私たちは「より意識を持って」事業展開をしていく必要があるものと考えています。

1つ目は、公益財団という自負と責任をもつこと。
2つ目は、リーダーを始めとしたボランティア、社会人のボランティア、そしてすべての会員が主体者であり、YMCA運動の中心であること。
3つ目は、そのボランティア、会員が自らの研鑽や成長とともに、社会の課題解決に向けた活動に取り組むこと。そして社会に発信すること、より力を発揮すること。

今日、私たちの社会は混沌としており、東日本大震災後の新しい生き方が求められ模索しています。このような社会の状況の中で、私たちのYMCAは「社会に提言、提案する力」また「社会の課題解決に応える力」がますます必要となり求められているのではないでしょうか。

このような時期に「公益財団法人京都YMCA」のスタートを切ることができましたことは、大いに意義があり、励まされ、これからの活動がますます強められる事を確信しています。

これまで活動を支え進めくださったすべての皆さんのお働きと、専門性とYMCAへの熱意をもって申請への準備に携わってくださったお一人お一人に感謝いたします。

そしてこれからも「公益財団法人京都YMCA」と「学校法人京都YMCA学園」が一体となって歩むことができますよう、皆様のご理解とお支えをお願いいたします。

すべてのことに感謝して。

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【特集】公益財団法人になって変わること

法人の名称が変わります

これまで皆様に慣れ親しんでいただいていた、「財団法人京都キリスト教青年会」という名称から今度の新しい公益財団法人では「公益財団法人京都YMCA」という名称に変わります。これまで外部の人にとっては「YMCA」は聞いた事があっても「キリスト教青年会」といわれるとどんな団体かわからないと言う事もあったのですが、今回法人名にYMCAを入れることによって、誰からもわかりやすくなりました。

「キリスト教青年会」という名称は、京都YMCAの会員組織の名称として残すことになります。

組織が変わります

これまで京都YMCAは、理事会と共に事業運営に責任を持つ会員代表の常議員で組織される常議員会がありましたが、新しい公益法人では、常議員会はなくなります。代わりに法人の運営を担う理事会の牽制機関として第三者を含めた評議員からなる評議員会が設けられ、理事の法人運営が適切に行われているか見守る役割と権限を持つことになります。理事と監事の選解任も評議員会で行われることになります。

公益財団法人となった京都YMCAでは、理事・監事と理事会の補助執行機関である常置委員会の委員長(陪席)とで役員会を構成し法人運営にあたることになります。

寄付税制の対象となります

公益法人になることで大きく変わるのは、公益法人となった法人に対する税制優遇の措置のみならず、公益法人に対する寄付をした個人ならびに法人も税制の優遇措置を受けられるようになります。

公益法人に寄付をした個人については確定申告をすれば所得税の控除が受けられるようになります。また、法人については法人税について特別損金算入限度額が加算されることになります。

具体的には、個人の場合年間で2,000円以上の寄付について年間所得の40%相当額を限度として寄付金額より2,000円を差し引いた額が所得控除されます。

法人についてはこれまでも一般の寄付について損金算入が認められてきましたが、公益法人に対する寄付については、これとは別枠で損金算入が認められることになります。

つまり、公益法人認定後の京都YMCAに対していただいた寄付金については、個人の場合、合計金額が年間で2,000円以上であれば、京都YMCAの領収書を添えて確定申告をすることにより寄付金の所得控除を受けられることになりますので、控除を受けようと思われる方は、領収書を確定申告まで保存しておいてください。

なお、募金箱に入れられた募金については領収書が発行できません。また京都YMCAの基本会費、維持会費については寄付金扱いにはなりませんのでその旨ご理解ください。

この他、個人が財産を寄付した場合の譲渡所得の課税や相続財産を寄付した場合の相続税の課税などに対しての税制の優遇措置が適用されることになります。

会員制度が変わります

公益法人移行に伴い、京都YMCAの会員制度が変更になることについては、維持会員の皆様にはこれまでご案内してきているところではありますが、まず公益法人への移行により会員は、公益財団法人京都YMCAの会員となります。

今回の公益の公益法人移行に伴う会員制度の最大の変化は、公益財団法人京都YMCA定款第49条3項に定められているように「会員は、この法人の目的に賛同し、その発展のために支援するものとする」と位置づけられていることです。従来の会則には会員は「この会の目的に賛同し、その達成を願う者及び活動に参加する者は、会員となることができる。」となっており「活動に参加する者」を含めた広範囲の会員制度を持っていました。しかし、新しい公益財団法人京都YMCAの会員は、「目的に賛同し」、「その発展のために支援するもの」とされているようにYMCAの活動を恒常的に支援し協力するものが会員とされています。

つまり、京都YMCAの会員には、YMCA運動を推進しYMCAの発展に寄与する働きが求められることになるとともに、YMCAとしては目的に賛同し、その事業や活動を支える人を積極的に会員としていこうとするものです。

したがって、これまでYMCAの事業や活動をボランティアとして支えていながら会員ではなかったボランティアやボランティアリーダーも会員と捉えていこうとしています。一方、YMCAの事業に参加する参加会員は、制度上「会友」として言わばプログラムの登録者という位置づけになりますが、京都YMCAとしては、「会友」として京都YMCAに関わるようになった参加者がYMCAを支える「会員」となっていただけるよう事業を進め、会員の拡大を図りたいと願っています。

文責 本部事務局長 加藤俊明

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京都YMCA役員紹介

 公益財団法人京都YMCAの最初の評議員、理事、監事となっていただく方は次の方々です。

○代表理事
 理事長 佐々浪 元彦 (株)佐々浪ファーマシー 代表取締役
 常務理事 神崎 清一 京都YMCA 総主事
○理 事 石若 義雄 (株)一粒社ヴォーリズ建築事務所 副所長
大山 悠子 (医)大山医院 理事
亀井 剛 亀井綜絖㈱代表取締役
学校法人京都YMCA学園 理事長
三井 哲次 共栄自動車(株) 代表取締役
○監 事 石川 敏夫 (有)石川 代表取締役
杉井 恭敏 杉井恭敏税理士事務所 代表
○評議員 浦上 準之助 大阪国際大学 教授
黒木 保博 同志社大学 教授
小嶋 薫 (財)京都市ユースサービス協会 総務部長
児玉 實英 同志社女子大学 名誉教授
佐藤 博 日本キリスト教団京都丸太町教会 牧師
土屋 文秀 (学)洛陽総合学院 理事長
山本 知恵 (財)京都YWCA 総幹事

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宝くじ協会からの贈り物

 2011年度も、宝くじ協会から集会用テントを寄贈していただきました。今年は三条本館、サバエ教育キャンプ場、リトリートセンターにそれぞれ1基ずつ届けられました。夏のキャンプをはじめ、様々な活動で利用させていただきます。

宝くじ協会からの贈り物

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東日本大震災支援活動報告

 京都YMCAでは、今年3月11日に起こった東日本での大震災及び津波の被害、そして、その後起こった原発事故により被災された方々のための支援活動を、被災地をはじめ全国のYMCAと共同して行ってまいりました。震災から半年たった現在までの活動の一部を、ご報告させていただきます。

救援復興募金

 京都YMCAでは、震災後すぐに全国のYMCAと共同して、被災者のための支援活動を行うことを決め、その為の募金を集めることにしました。3月27日には、215名の会員が集まり、市内8箇所で街頭募金を行い、一日で576,117円の募金が集められました。また、その後も5月15日にユーススポーツの子どもたちが、6月5日に会員が、それぞれ街頭募金を行いました。街頭募金以外にも、個人や法人からの募金が窓口に次々とよせられました。

救援復興募金の様子

避難者への支援活動

 京都には、福島県を初め東北地方から多くの方々が避難してきておられます。しかし、家財道具は置いてきたため、生活に必要な物のないままで来ておられる方がほとんどでした。そこで、同志社大学や京都大学の学生を支援するグループと共同し、卒業生の家電製品や家具を、避難してきている方々に渡す活動に協力することになり、京都部の各ワイズメンズクラブに協力を呼びかけました。4月29日、避難家族の方が選んだ家具・家電等の配送を行うこととなり、多くのワイズメンの協力を得て、市内各所の避難者の住まいに配送を行いました。

避難者への支援活動

中高生ワークキャンプ

 7月26日から30日までの5日間の日程で、京都YMCAの募集に応じた中学生4名と高校生1名が、廣田悠スタッフの引率で、宮城県七ヶ浜町でワークキャンプを行い、浜の掃除やボランティアセンターでのワークを行いました。

中高生ワークキャンプ

被災地への派遣

 震災後間もなく、日本YMCA同盟では、被災地へスタッフの派遣を行いました。京都YMCAからは、4月3日から10日までの間、国際協力専門委員で元神戸YMCAスタッフの遠藤浩氏(写真)を仙台YMCAに派遣し、仙台市内で津波被害の大きかった若林区の災害ボランティアセンターでのボランティアコーディネートの応援を行いました。

 その後、4月18日から23日までの間、ウエルネススタッフの久保田展史、中村彰利の両名と野外活動リーダーOB・OG3名を、仙台YMCAに派遣し、宮城野区災害ボランティアセンターの応援を行いました。その際、京都YMCAの公用車を仙台YMCAへ持ち込み、ボランティアセンターで被災者支援活動に使ってもらうことにしました。その車は、後に、正式に京都YMCAより仙台YMCAに寄贈することとなり、現在も仙台YMCAのボランティア支援センターで用いられています。6月に入ると、ボランティアビューロ専門委員の宇佐美賢一氏を、13日から18日まで仙台YMCAに派遣し、仙台市宮城野区の災害ボランティアセンターの応援活動を行いました。

被災地への派遣(左が遠藤浩氏。仙台YMCAや他YMCAスタッフらと共に。)
左が遠藤浩氏。仙台YMCAや他YMCAスタッフらと共に。

被災児童の受け入れ

 京都YMCAでは、夏のプログラムが始まる前に、震災で被災した子ども達を夏期プログラムに受け入れることを発表し、参加を募りました。その結果、幼児から中学生まで19名の子どもたちが、8つのプログラムに分かれて参加し、夏のプログラムを思い切り楽しんでいました。

ボランティアの派遣

 ボランティアビューロ専門委員会では、京都YMCAから被災地へ復興支援のボランティア派遣を計画し、6月に仙台に京都YMCAから派遣された宇佐美氏の報告を下に、日本YMCA同盟及び、仙台YMCAに調整をお願いし、7月と9月の2回にわたって市民ボランティアを含む29名を集め、宮城県亘理郡山元町へ派遣しました。

ボランティアの派遣

ボランティアの派遣

避難家族招待デイキャンプ

 震災後、京都には東北・関東地域より避難してこられた方々が、府や市の用意した公営住宅等に入居しておられます。特に、福島原発の事故後の放射能の影響を恐れて、福島県から多くの避難者がおられます。ボランティアビューロ専門委員会では、これらの方々に自然の中で家族で一日ゆっくり過ごしていただこうと、8月7日に京都YMCAリトリートセンターでのファミリーデイキャンプを企画しました。当日は、京都部のワイズメンズクラブの協力を得て、避難家族35名を招待して行いました。放射能による影響を恐れて小さなお子さんを抱え避難している方が多く、放射線の影におびえることなくリトリートセンターの自然の中で、子どもたちが自由に遊びまわる様子を喜んでおられました。

避難家族招待デイキャンプ

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